マダガスカルからの研修生を迎えて
10月20日(火) 来 日
◇19: 15関空着
10月21日(水)オリエンテーション・歓迎会
◇13:00〜17:00神戸市勤労会館
◇18:00〜20:00神戸・三宮(マンダリンハウス)
10月 22日(木)須磨水族園・須磨海岸散策
◇10:00〜14:30須磨水族園・須磨海岸
遠足の子どもたちの大喧騒のなかでしたが、予想外に楽しめたようです。
これまでTVで見ていたのを実際に目にするととても興 味深く、特にドルフィンショーが面白かったということ
です。ビーチの散策では「このつぎはここで泳ぎたい」というジョーク(?)も…。
10月22日(木)学童保育所見学
◇13:30〜17:00風の子学童保育所(神戸市灘区)
「マナオーナ」という声に迎えられ、風ならぬ嵐のような歓声のなか、けんだま、お手玉がはじまりました。
部屋の中はマダガスカルの写真やぬいぐるみが飾られて、さながら「マダガスカル・デー」のようすでした。
お手玉をやってみるとシンシアさん(通訳)は何度か成功、マダガスカルではオレンジやグアバの実を使って
お手玉をするそうです。その後、K・Kさんによる「おおきなかぶ」「やまなしもぎ」「チムとゆうかんなせん
ちょうさん」の読み聞かせがありました。
子どもたちが一心に聞き入っている様子と、RADOさんがノートにメモを取っているのが印象的でした。
また子供たちからマダガスカルのことについて『世界遺産はいくつありますか」「子ども達はどんな遊びをして
いますか」「学校に音楽室や図書室はありますか」という質問がありました。
それぞれに答えてもらいましたが、その話のなかで、”働かなければ食べるものがない状態”ということが、
小学2年生にはどうしても理解できなかったようです。
その他、ジャンケンのやり方の比較や、外での縄跳び、子ども達から折り紙のプレゼントがあったり、と盛り沢山
でした。
RADOさんの感想は「話す内容が子どもというより大人の感じがした。マダガスカルのことを事前に聞いていたこ
ともあると思うが、子どもたちが積極的なのに驚いた。マダガスカルでは恥ずかしがって、はじめての人には寄り付
いてこない。」ということです。
飾り付けてあったマダガスカルの写真はいつのものかという質問もあり、メンバーが4年前に訪れたときの写真だと
説明しました
総合すると、きょうは満足したとのこと。はじめての電車にも(JRと阪急)乗っていろいろな経験ができて良かった
そうです。ついでに地下鉄にも乗れたらよかったかも。ちなみにTIANAさんは甘いものはあまり食べない
(ビールは飲む)、RADOさんは甘いもの好き。どちらもコーヒーは飲まず、TIANAさんは日本茶好きです。
マダガスカルではお茶は食事のときだけで、それ以外は水を飲むそうです。(N・K)
10月23日(金)コミュニティ・ライブラリー研修
◇ 10:00〜12:00篠山市立中央図書館分館(篠山市黒岡191)
・同行者:ナマナメンバー2名 通訳1名
・対応者:篠山市立中央図書館 長澤館長
・研修テーマ:市民ボランティアによる図書館運営の理解
・研修内容:上記テーマに基づき下記のとおり研修を実施しました。
@ 館長から、次の項目について説明を受けました。
・ 市立図書館及びその分館である篠山市民センター図書コーナーの概要
・ 同コーナーが、市民ボランティアにより運営されるに至った経緯
・ 同コーナーの運営状況
・ 同コーナーの運営システム(貸し出しの方法及びルール、配架状況、勤務シフト、謝礼金、ボランティアの募集
方法・応募状況、その他)
・ 運営上の課題
A 説明及び質疑応答の後、配架、動線等の状況、ボランティアの活動状況等を学ぶため、コーナー内を視察しました。
◇研修生からの質問も多く、それに対し館長から丁寧な説明があり、運営に関し概略を理解できたと思います。
研修生から「マダガスカルでは学んだことを基に、まずは子どもたちを対象に実施したい。また、説明を受けた
『運営上の課題』について、同様の問題を可能な限り生じさせないよう取り組みたい」との意見があり、研修を
実施した意義があったと考えます。(N・N)
◇彼らは今回のプロジェクトの意義については的確に受け止めてくれている様です。(S・N)
10月24日(土)神戸市立中央図書館、移動図書館、スーパー書店見学
◇10:30〜11:30神戸市立中央図書館
土曜日とあって、子どもの来館風景が見られてよかったです。幼児コーナーや、小学生コーナー、紙芝居や大型絵本
などを見たあと、外国語絵本を実際に借り出しました。また、高齢者のための大活字本もらいました。
コンピューターでの貸し出し形態は、マダガスカルの大学でも同様とのことです。
大人のコーナーの見学はしませんでした。
中央体育館でロボコンの近畿大会が見られるかと思って行きましたが、開催は明日とのことで、覗くこともできま
せんでした。2人は興味深々だったのですが‥。
◇13:00〜14:00移動図書館の見学(須磨区・白川高尾公園)
移動図書館の職員や研修生とのインタビューはほとんどメンバーのS・Tさんの独壇場で、さすがと感服しました。
研修生も随分興味があったようで、いろいろ質問していました。50分ほどいる間、本を借りる人が絶えることはなく、
盛況さに驚かされました。私たちも実際に見たのははじめてで、よく考えて運営されているのに感心しました。
◇15:30〜16:30スーパーの書店見学(北区・コープデイズ神戸北町)
RADOさんが紙の組み立てキットを見て、英語版があれば、ということだったが、残念ながら日本語版のみ。
西宮・プレラホールでのアコーディオンコンサート(18:30〜)のチケットをもらっていたので案内しました。
まずまず楽しんで頂けたようです(N・K)
10月25日(日)フリータイム
今日は研修もお休みで朝から観光の予定でしたが、教会に行きたいということでしたので、正午に会いました。
シンシアさんの寮の文化祭もあり、それを3時半まで見てからの観光になりましたので、近場の舞子プロムナード
に決めました。曇っていましたので残念ながらきれいな夕日は見えませんでしたが、美しい景色は喜んでもらえた
ようです。(T・N)
10月26日(月)長浜市「チャイルドハウス」見学
◇10:00〜14:00長浜市「チャイルドハウス」
今日は朝7時にホテルを出発。9時40分、滋賀県長浜市田村町にあるチャイルドハウス着。
きれいな施設の幼稚園で学童保育所もあります。10時に”えつこワールド”の宮腰悦子さんの紙芝居やパネル
シアターが始まると園児たちは食い入るようにして見て楽しいそうに喚声をあげていました。
RADOさん、TIANAさんも楽しかったようです。
公演終了後、RADOさんが持参したマダガスカルの映像を園長やえつこワールドの方に説明していました。
帰宅途中で彦根城の見学をしました。(T・N)
10月27日(火) 地域の小規模図書館見学
◇10:00〜15:00稲美町立図書館(兵庫県稲美町)
三宮から小一時間、小高い丘の上にあるコスモホールへ到着。木造りのまあるい図書館はこの中にあります。
10時から、町から委託を受け館の運営をしている「NPO法人ライブラリーコスモ」の代表者・山本ひとみさんの
案内で館内を見学しました。
「借りられる冊数は、何日間借りられるのか、誰でも図書館に入れるのか、図書館の休みの日でも返却できるのか…?
など疑問に思った事を2人ともたくさん質問。
本の貸し出しや返却時の処理法、書架への戻し方等について説明を受け、実際にやってみました。
「カウンターに来られた方に、まず『こんにちは』を言ってくださいね。」と館員に言われ「こんにちは」
貸し出し手続きのコンピューター処理を済ませ「『ありがとうございました』と言ってくださいね。」の言葉に
「ありがとうございました。」返却時のパソコン処理を済ませ、本の損傷のチェック、損傷のあった本の処理、
書架への戻し、これらを実際と同様にやってみました。
◇2人の感想:
「作業の説明を受け、実際に一つずつやってみて、よくわかった。」「マダガスカルで本の貸出しを行う場合は、
機械処理ではなく、今日説明を受けた(昔の方式である)貸し出しカードによる方法でやってみる。」
◇13時から、サンTV、神戸新聞の取材が入る。
午後の最初の研修は傷んだ本の修理。破れた絵本の修理を館員の指導により実施。
この時修理した絵本は、お土産として持ち帰り。
次は「紙芝居のおっちゃん」阿部元則さんによる紙芝居の実演。自転車の荷台に載せられた手作りの舞台で演じられた
のは「黄金バット」大人ばかりの観客は、名調子に大喜び。
そのあと、TIANAとRADOの実習。「白い象」の英語版を実演。
演じ方についておっちゃんの指導が入る。
次は、ブラックライトを使った光るパネルシアターの実演。明るくなった場内で、光る絵が何の変哲も無いただの絵で
あるのを見て、「…?」
その後は、紙芝居のおっちゃんの指導で、紙芝居の時に渡す小物(幾種類かの紙トンボ、紙飛行機、ぶんぶんゴマ)
の作製実習。出来上がったものを飛ばしてみてうれしそう。
これらもお土産、これらの研修は実際に図書館活動を行うときに、子どもたちに図書館に興味を持ってもらい、楽しい
場所であり行ってみようという気を引き起こす手段の一つとして役立ててもらおうと実施しました。
このあと、サンTVのインタビューがありました。2人とも、なぜこの事業をマダガスカルでやる必要があるのか、
原状はどうなのか、将来の展望は等の質問に的確に答えていました。
この模様は、同日17時30分からのサンTV番組「ニュースシグナル」で放映されました。
神戸新聞には28日か29日に掲載される予定とのことです。16時ごろ研修は終了、帰途に着く。
お疲れ様でした。(N・N)
◇今日は、本の貸し出し方法、効率的な陳列方法や整理の仕方。破損した本の補修など、的確かつ丁寧に指導して頂き
ました。 神戸新聞社とサンテレビの取材も無事に済み、本日夕方五時半のニュースで放映されました。
カメラ映りともども上々でした。(S・N)
◆サンテレビのニュースで放送(10月27日稲美町立図書館)
10月28日(水)大阪・灰塚小学校訪問
◇10:30〜14:20大東市立灰塚小学校
10時15分頃に学校に到着。11時から5年生の子ども達との交流を始めました。
ソーラン節の踊りに迎えられた2人は、ダイナミックな動きに驚いたそうです。
その後はナマナクラブメンバーのK・Hさん(元JICA海外青年協力隊員)からマダガスカルの紹介、子ども達との
質疑応答と続きました。
子どもからの質問の中には、マダガスカルの人たちの生活格差を尋ねる難しい質問も…。
質問になると、通訳を介さないといけないので時間もかかり、少し子ども達もだらけ気味になってきたので早めに切り
上げ、みんなでクバーラ(マダガスカルの遊び)をする事にしました。
テレビの取材が来ていることもあって、よりいっそう大張り切りの子ども達。やってみたいという希望者殺到で、選ぶ
のが大変でした。何回かやると、ルールも把握し、だんだんコツもつかんできたようです。
引き続き体育の時間などにやってほしいな。
その後は、みんなで、キララキという踊りを踊って、交流は終了。あっという間の1時間20分でした。
給食の時間は、2クラスに分かれて入り、子ども達と一緒に給食を食べました。
よりによって、今日のメニューがサバの味噌煮だったので、食べられるか心配しましたが、口にあったようです。
5時間目は、図書室で3年生の図書の時間を見学。テレビには、この場面が多く写っていました。
熱心に本を読む子ども達の姿が印象に残ったようです。
その後は、梅田スカイビルへ行った後、ヨドバシカメラでテレビのオンエアを見ようと思いましたが、ヨドバシのテレビ
はディスプレイ用の画面ばかりで、今放送しているものは見られなかったので仕方なく駐車場でワンセグの小さい画面で
オンエアを見ました。
小さい画面を、一生懸命ビデオに収めていました。大阪ローカルの放送なので、神戸では映らなかったかもしれません。
(H・F)
◆NHKテレビのニュースで放送(10月28日大阪・灰塚小学校)
10月29日(木)パネルシアター作り、学校図書の一般開放見学
◇10:00〜12:00 王子動物園
午前中、研修時間が空いたので、王子動物園に行きました。
マダガスカルでは見られない動物を見て、とても興味深かったそうです。
◇13:00〜15:00 青少年会館でパネルシアター作り
パネルシアター作りは彼等に絵を描いてもらい、クレパスで色付けをしそれぞれに短い話をつくり実演してもらいま
した。
◇15:40〜17:00 北区星和台小学校で学校図書室の一般開放見学
星和台小学校では、担当者に色々たくさんの質問をし、又本を借りに来ていた小学生には「何冊くらいの本を読んで
いるか?」など質問されていました。明日は東京です。(S・N)
10月30日(金)シャンティ国際ボランティア会訪問
◇14:00〜16:00東京「シャンティ国際ボランティア会」
品川駅でBAMさんと合流、午後2時にシャンティ国際ボランティア会をたずねました。
前ミャンマー難民キャンプ支援事務所長の中原亜紀さんから約1時間半にわたってブリーフィングがありました。
おもに英語で行われて、ナマナクラブメンバーの二人はほとんど分かりませんが、不完全ながらもニュアンスは感じられ、
今回の研修の締めくくりとしてふさわしい内容でした。
後半は国内事業部を見学しました。ボランティアの人たちが、送られてきた翻訳シールを貼り付けた絵本の仕上げ作業を
しているところで、担当の方から話を聞きました。
貼り付け作業の微妙な修正の仕方など、苦労話を聞いたりして充実した2時間となりました。
また、研修生の方からもつぎつぎと熱心な質問がつづきました。なぜこんな研修が必要なのか、2人の研修生は今まで
疑問を感じていたかもしれませんが、この日の研修できちんと理解してもらえたのではないでしょうか。
できたら、日本人スタッフにもレクチャーをお願いしたいと思ったくらいです。(N・K)
11月2日(月)総括ミーティング
◇10:00〜15:00神戸市勤労会館
<RADOさん>
研修では、マダガスカルでは見たことのない本の扱い方や読み聞かせの方法などとても勉強になりました。
また、紙芝居は新しい体験でした。
本のタイプが多いので様々な分野をカバーできているのだと思います。
図書館にはCDもあって興味深く、イメージがよかった。
神戸の図書館では両親と子ども達が一緒に来て、本を選ぶ手助けをしていました。
また、書架がベビーカーや子ども達の目線で、しかも、ベビーカーなどが通れる間隔で配置されていました。
これはとても大事なことだと思いました。
図書館を見学して、子どもたちが本を読むようになるための方法が色々あることを発見しました。
マダガスカルでもできればよいと思います。
<TIANAさん>
・日本人の普通の生活に読書という習慣が根付いている。
・読書により沢山の知識を得ることができる。
・日本の強さというのは機械、技術などいろいろあるが、これは、海外の様々な文献を翻訳し広く伝える
という事にもあるのではないか。
・情報を伝える方法、そのトレーニングのやり方を知っており、専門家がいて、そして子どもたちも本が好きだということ、
これらにより本から多くの情報を得ることができる。。
・マダガスカルの子どもたちも見たい本、本の好きな人もいる。本もあるが数が少ない。
・日本での研修はとてもよかった。どんなやり方でやるか、伝わるか、本にバラエティある。デザインもいろいろある。
絵の描き方、とてもメッセージが伝わりやすい。とてもよかった。
<S・Nさん>
はじめて学童保育を見学したとき、何をやっているのかわからなかったのではないか。何をするのか疑問だったのでは。
他のところを巡っているうちに分ってきたと思う。とくにシャンティがよかった。
本に対して研修したことを理解してくれたと思う
<K・Kさん>
初日の学童保育のとき戸惑い気味だったのはなぜか?
(TIANAさん)やり方を早く知りたかった。方法や技術を期待していた。
(RADOさん)自分も子どものとき祖母から話を聞いたが、口で伝えるだけだった。
<N・Nさん>
日本では口伝や紙芝居、絵本などの時代を経てインターネットの時代になったが、マダガスカルでは一気に
インターネットの時代を迎えた。それだけに絵本や紙芝居は大きな意味があると思う。
本とのかかわりはどうなのか、個人に教科書はあるのか?
(TIANAさん)一人ひとりにはないが先生が持っていて内容を伝えている。中学校にはある。本とのかかわりはあるが、
本の大切さは少しずつわかっていく。本を読みましょうということでなじんでいくのでは…。
(RADOさん)学校を卒業したら本とのかかわりはまだまだ。学校でも数学や歴史を教えているが、教育のために読む
という家庭はある。
<N・Kさん>
どう伝わっているかわからないが、耳から聞いていたのがいきなりインターネットになった。日本でもマンガやアニメが
子どもにより伝わりやすいが、映像より読むこと、聞くことの方が想像力を高め、他者を思いやることにつながる。
想像力を持つ人をひとりでも多く育ててほしい。日本では映像が氾濫し構いすぎて想像力を妨げているのでは。
<S・Nさん>
マダガスカルには2回行ったが文化についてはよくわからない。水田や地道の農道は子どもの頃そのままの風景だった。
そのとき感じたのは、日本はとても便利で情報もあふれており、とても豊かな国にみえる。
物は豊かになったが心は豊かなのか…ということ。文化の良し悪しや価値は、物の豊かさや経済的な豊かさで測るものではない。
本に親しむということは自分の気持ちを多くの人に伝えるという利点がある。そのもとは想像力でありそれを養うのは口伝、
伝承などで、マダガスカルにはいいものがいっぱいある。 そのようなものを子どもたちに伝えてほしい。
<K・Kさん>
子どもたちは絵本は大好きだが、活字だけではなかなか読まない。テレビや映像がインパクトが強いので子どもたちには想像力
が弱くなっているのではないか…。
(両国の小学生が交換した図画を見て)
<TIANAさん>同じように思う。絵描くのは毎日の生活を映すこと。想像力に違いがあるとは思わない。
<RADOさん>自分の考えをイメージ、バオバブ、富士山とも想像力ある。
(了)
◆ミニ図書館を予定しているアンチラベの小学校を訪れた2人
2009年12月 ベ・マスアンドゥル小学校