8月4日
住友商事 アンタナナリブ事務所 所長 有山さん
・フランスの教師用の指導書を各学校に贈る事業を計画。しかし、クーデターによる政情不安のため、すべての事業が
スト ップしている状態。
指導書類は、まだ配ることができず、倉庫に眠ったままの状態。情勢がよくなれば、JICAとも協力して、事業を展開して
いきたい。
JICAマダガスカル事務所 所長 笹館さん
・JICAボランティアの活動の説明や一村一品運動の説明を受ける。
手洗いの普及については、有名な歌手の出演するDVDを作り、力を入れている。
・ナマナクラブの活動を説明する。
本の輸送方法についてうまくいく方法があるかもしれないので、考えてみるとのこと。(後日、世界の笑顔プログラム
による方法の提案を頂く)
・クーデターによる政情不安のため、今のところマダガスカルでの協力隊員の新規募集はストップしている状態で、
協力隊員はこれから減る一方になる。
・クーデターにより、経済の発展もストップしている。失業者も増え、余り良い状態ではない。町に人があふれているように
見えるのは、仕事を探す人、物売りをする人が増えたためと思われる。
・今のところ、他国の介入もうまくいかず今は、マダガスカル人で話し合い何とかしてほしい、という状態。
JICA青年海外協力隊員派遣地
アンタナナリブ EPP Ambodin'Isotry(アンブディニスティ小学校)
1時45分、学校へ到着。校門の前にも出店が出ていて、店を移動させてから門を開けて中に入る。
運動場には、男女別にズラッと2列に並んだ子どもたち。 全部で150人ぐらいいるだろうか。こ ちらの方を好奇心
いっぱいの目で見てくる。
緑のユニフォームを着ている子と着ていない子がいる。あとで、校長先生に聞いたところによると、男女各60着ずつ
プレゼントされたものを、貧しい子から配ったという。まだ新しく、ユニフォームを着ている子の方が小ぎれいに見える。
私服の子どもたちは、そこまで貧しくないこということになるが、かなり汚い服を着ている子も多い。
この小学校は、タナ市内でも一番貧しい地域にある小学校ということが実感できる。
校長先生と挨拶をした後、絵本の読み聞かせのため、教室を開けてもらうことにした。夏休みということで、先生の姿は
他には1人ぐらいしか見えなかった。
教室へは、まずユニフォームを着ている女子、そして、ユニフォームを着ている男子の順で入り、第1回の読み聞かせが
スタート。まずは、校長先生が我々を紹介。 続いて我々がここに来た目的を伝える。一言いうたびに拍手がある。
いよいよ、読み聞かせ。読むのはラドゥさん。ちょっと声が小さく聞き取りにくいのだが、子どもたちは静かに聴いている。
大勢の目が小さい本の絵に集中している。本、紙芝居と続けたあとは、奈良県の高校生が作った布絵本を見せる。
ページをめくるたびに大きな拍手。心を込めて丁寧に作られたということが見せるだけで伝わったようだ。
これで一回目が終了。
2回目は、ユニフォームを着ている残りの男の子と、ユニフォームを着ていない子。1回目より人数がはるかに多く、
教室はすし詰め状態。まずは、ナマナクラブの説明とここに来た目的の紹介。
今回の読み聞かせは、ティナさん。はじめの話は、「大きなかぶ」繰り返しの部分が面白いのか、笑い声が聞こえた。
本が2冊あったので、左右で2冊の本を開き絵を見せた。子どもたちは 、話と絵に集中している。
次に紙芝居「チョコレートカステラ大事件」。ティナさんは、子どもたちに声を出して反応させながら読み聞かせを
進めていたので、朗読の途中で子どもたちの元気な声を聞くこともできた。
最後に、布絵本と折り紙で鶴を作って見せ第2回も終了。
その後は、運動場で大縄跳びをするために外に出たが、子ども達の数が多すぎ、また子どもたちを仕切る先生も
少なくて、大縄跳びをする場所も作れない状態。仕方がないので、最後の挨拶をして、さようならをしてから、残った
子だけで大縄跳びをすることにした。 はじめは、大人が縄を回していたが、途中からは大きな子が色々と指示しながら
小さい子を跳ばせるようになった。
大縄跳びはみんな上手で びっくりした。 日本より回すスピードがうんと速いのにもびっくり。
縄跳びで遊ぶ子どもたちを残して、校長先生に学校を案内してもらい、学校について尋ねる。
まずは、物置のような図書室(といっても、本の数は100冊もない)、校長室、職員室。職員室は狭く、先生たちは
職員室に集まるということはないようだ。
ほとんどのマダガスカルの学校には職員室はなく、先生は授業だけして、すぐに帰ってしまうというのが現状のようだ。
教室も、長机が並ぶだけの殺風景な教室。電気もない。
児童数は2300名(1年〜5年)、1クラスは60名。教室は24。午前と午後の2部制。
児童数の多さ、1クラスの人数の多さに驚く。
14%位の子だけが上の学校に行くそうだ。マダガスカルの平均からしてもうんと低い数字だ。
心をこめ、時間をかけて作った絵本を大切にして、教育に役立ててくださいと何度も伝えて、3時30分、学校を後にする。
あっという間の1時間半だった。
8月5日
アンチラベ EPP Bemasoandro(ベマスアンドゥル小学校)
アンチラベの市街地から、細い道に入り、小学校へ向かう。 細い道に入ったとたんに雰囲気が変わり、貧しい地域に
入ったことを感じる。道の両側の家はかなり粗末で、ゴミも多い。 細い道を5分ほど走ると学校に到着。
校長室とパソコンが入った部屋の建物と、教室の建物が3つ運動場を囲んで建てられている。
校長先生と工事業者が我々の到着を待っていてくれた。校長先生は女性で、いかにも教育者といった感じの方だった。
さっそく、図書室に改装したいという部屋を見せてもらう。
3つの教室棟の中では、一番古い棟の左端の部屋。かなり老朽化している。
天井の木がたわみ、隙間が空いている部分がある。窓は小さく、鎧戸式で、閉めると光が入らない。
開けていてもかなり暗い。床もデコボコ、机や椅子もかなり傷んでいる状態。
でも、その教室棟の他の3つの教室は、もっと悪い状態で、天井の木がめくれ屋根の裏が見えている部屋もあった。
机や椅子も壊れているものも多く、本当にここで勉強しているの?と思うような状態だった。
図書室にする為に
・窓をガラスにする
・入り口を少し狭くして新しい教室棟と同じように頑丈な金属製のドアにする
・天井の板を入れ替える
・床と壁をき れいにする
・本棚を作る
・机と椅子を新しくする
という改装の内容を見積書を見ながら確認する。
今から明日の午後までに、業者に改装に必要な資材を準備させるようにと、見積額の半額(約4万円)を
校長先生に渡す。
その後、他の棟の教室も見せてもらう。校門から向かって右側の奥にある青い棟が、一番新しく、きれいだった。
校長先生に学校の話を聞く。
児童数は670人。(1年〜5年)先生は15人で教室は8つ。1クラスの人数は40〜50人で、午前と午後の2部制 。
85%の 子どもが上の学校に行く。タナの小学校と比べると、まだ教育条件はいい方のようだ。
2年生からフランス語の勉強を始めるが、5年になっても読めない、話せ ないという子もかなり多いと言うことだった。
やはり、本を贈るなら、マダガスカル語の方がいいようだ。
明日の再訪を約束して、学校を後にした。
小学校入口 図書室に改修予定の建物 建物の内部
8月6日
アンチラベ EPP Bemasoandro(ベマスアンドゥル小学校)
1時40分 小学校へ到着。
校長室の横の日陰に50人ほどの子どもたちが並んで座り、本を読んでもらっている。
以前に絵本を贈っているので、本の読み聞かせには慣れているように思った。
本が終わり、今度は歌を歌い出した子どもたち。
手拍子も入ったかわいい歌で、マダガスカルの子どもなら誰でも知っているような手遊び歌らしい。
校長先生から、我々を紹介してもらった後、みんなの前で持ってきた本を渡し、布の絵本から紹介する。
タナの小学校同様、色がきれいで分かりやすい、しかも立体的な布絵本は大人気だった。
日本の高校生が心を込めて作ったことを紹介した。
布の絵本を紹介している間に、校長先生に持ってきた本の中から読み聞かせする本を選んでもらった。
校長先生が選んだのは「11ぴきのねこ」。校長先生は、上手に本を見せながら読み聞かせを始めた。
初見とは思えないスムーズさだ。
子どもの反応を確かめたり、子どもに答えさせたりしながらの読み聞かせは、かなり慣れている感じがした。
以前に贈った本が、日常的に活用されていることが感じられた。子どもはとても楽しそうにそして、
真剣にお話を聞いていた。
子どもたちが本を一生懸命見る表情がとてもよかった。
本を贈った学校の校長先生がこの人でよかったと思った。
次は、若い女の先生が読み聞かせ。こちらも、ずいぶん慣れている感じだった。
先生達が子どもたちに日常的に本を読んでやっていることがわかり、このような学校の図書室を整備することは
とても値打ちのあることだと感じた。
最後に、ラドゥさんが、紙芝居「チョコレートカステラ大事件」を読む。
2人の先生の読み方に刺激を受けたのか、慣れてきたのか、前回より声にも張りがあり、熱演のラドゥさんだった。
本の後は、縄跳び。今回は子どもの人数も少なく、先生も多かったのでうまくできた。
大縄飛びは初めてだと思うのだが、みんなとても上手だった。
途中からは、短縄も出して多くの子がいっぱい縄跳びを楽しんだ。
その後は、折り紙。何人かに紙飛行機の作り方を教えると、次々と折り紙をもらいに来る子どもたち。
紙1枚でどれだけ遊ぶの・・と思うぐらい、何度も紙飛行機を飛ばし楽しそうに遊んでいた。
青い空をバックに色とりどりの紙飛行機がきれいだった。
その後は、子どもたちはおやつタイム。
休み期間中に子どもたちを集まってもらうため、トウモロコシを炊いたおやつを学校で用意していたようだ。
運動場の端に上手に並んで、1人1人順番に食器を受け取っていた。
その間、図書室改装工事の進み具合を見に行く。資材はそろえられ、少し工事が開始されていた。
10月の新学期までにはできあがる予定。
機会があれば、新しい図書室で子どもたちが自分で本を読んだり、読み聞かせをしてもらったりしている姿を、また是非
見に来たいと思った。
業者には、きちんとした工事の施工を依頼。
校長先生には、多くの人が心をこめ、時間をかけて作った絵本を有効に教育に役立てて下さいと伝える。
10月には、ティナさん、ラドゥさんが再びこの学校を訪ねて、工事の完成した図書室の様子を見て報告してくれること
になっている。
観光を主目的にマダガスカルへ同行してきた人達(それぞれマダガスカルまで絵本を運んでくれた)が
ムルンダヴァからの飛行機の遅れで学校訪問に間に合わなかったことが残念である。
この人たちの中には、折り紙 のスペシャリストもいたということを後で聞き、余計残念に思った。
多くの人達に、本を一生懸命見つめる子どもたちの表情を見せたかった。
http://www.youtube.com/watch?v=eqdZOjrLqis
動画をユーチューブで公開しています。
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